ベンチプレスの手幅はどのくらい?正しい決め方と調整方法
ベンチプレスの手幅はどのくらいが正解?
ベンチプレスをするとき、「手幅は肩幅よりどのくらい広くすればよいのか」「ワイドグリップとナローグリップでは何が違うのか」と疑問に思ったことはありませんか?
ベンチプレスの手幅は、挙上重量やバーを動かす距離、使われる筋肉、肩や肘の動きに影響する重要な要素です。しかし、手幅には全員に共通する絶対的な正解があるわけではありません。
肩幅だけを基準に決めたり、81cmラインに合わせたりするだけでは、自分に合った手幅を見つけられない場合があります。
この記事では、ベンチプレスの手幅の基本的な決め方から、ワイドグリップ・ナローグリップの違い、重量への影響、自分に合った手幅を見つける具体的な方法まで解説します。
特に、高重量を扱いたい場合は、単純にバーの移動距離を短くすることだけを考えるのではなく、肩・鎖骨・肘・手首にかかる負担や、バーをスムーズに動かせるかどうかも重要になります。
この記事のポイント
- ベンチプレスの手幅は、体格や腕の長さ、肩甲骨の位置、ブリッジの高さなどによって変わる
- 手幅が広いとバーの移動距離が短くなりやすく、狭いと長くなりやすい
- 手幅によって大胸筋や上腕三頭筋の活動だけでなく、肩や肘にかかる負担も変わる
- 81cmラインは競技ルールに関係する目印であり、すべての人に適した理想の手幅ではない
- 狭い手幅から指1本分ずつ広げながら、自分に合った幅を探す方法がある
- 体のコンディションによって、その日に動作しやすい手幅が変わることもある
結論として、ベンチプレスの手幅は、バーを胸に下ろしたときの手首と肘の位置だけでなく、肩・鎖骨・肘・手首に無理な負担がかからず、スムーズに押し上げられる幅を探すことが大切です。
可動距離が短くなる手幅が必ずしも最適とは限りません。ケガをせずに安定して力を発揮できる手幅を見つけることが、高重量を目指すための近道になります。
ベンチプレスの手幅はどのくらいが正解?
ベンチプレスの手幅を決めるとき、最初に気になるのが「肩幅に対してどのくらい広く握ればよいのか」という点でしょう。
一般的には肩幅よりも広い位置で握ることが多いですが、肩幅から何cm広くすればよいという共通の基準はありません。腕の長さや胸郭の厚み、肩関節の可動域などによって適した手幅は変わります。
さらに、手の長さだけでなく、肩甲骨をどのように寄せているか、ブリッジをどの程度高く組んでいるかによっても、適切な手幅は変わります。
例えば、同じ身長や体格の人であっても、肩甲骨の位置やブリッジの高さが違えば、バーを胸まで下ろしたときの関節の位置関係が変わります。
そのため、他の人が握っている位置をそのまま真似するのではなく、自分の体格やフォームに合わせて判断する必要があります。
手幅を決める基本は前腕の位置
まず確認したいのは、バーを胸に下ろしたときの前腕の位置です。
バーを胸に接触させた状態で、手首の真下に肘がくるようにすると、前腕が床に対しておおむね垂直に近い位置になります。これを手幅を決める際の基本的な目安にできます。
前腕が極端に内側や外側へ傾いている場合は、手幅が広すぎる、または狭すぎる可能性があります。
ただし、前腕を完全に垂直にすることだけが正解ではありません。バーを下ろす位置や肘の開き方、肩甲骨の位置などによっても適切な関係は変わります。
また、前腕の位置が整っていても、実際にバーを押し上げたときに肩や肘に負担が集中している場合もあります。
大切なのは、手首と肘の位置関係だけでなく、関節に無理な負担がかからず、バーを安定してコントロールできることです。
肩幅や身長だけで手幅を決めない
手幅を決めるときに、肩幅や身長を参考にすることはできます。しかし、それだけで最適な幅を判断するのは難しいでしょう。
同じ身長の人でも腕の長さや胸郭の厚みが違えば、バーを胸まで下ろしたときの肘の位置が変わります。
また、ブリッジの高さによってもバーを下ろす位置や可動域が変わるため、同じ体格であっても適した手幅が異なることがあります。
特に競技ベンチプレスや高重量を扱う場合は、単純に手幅だけを切り離して考えることはできません。肩甲骨の位置やブリッジの作り方、バーを下ろす位置なども含めてフォーム全体を考える必要があります。
そのため、身長や肩幅はあくまでも参考にし、実際にベンチプレスを行ったときのフォームから判断することが重要です。
81cmラインは理想の手幅ではない
ベンチプレスの手幅を調べていると、「81cmライン」という言葉を目にすることがあります。
これはパワーリフティング競技で使用されるバーベルの目印に関係するものです。
IPF(国際パワーリフティング連盟)の競技ルールでは、ベンチプレスの握り幅は左右の人差し指の間で最大81cmと定められています。
つまり、81cmは競技上の最大幅を示す基準であり、すべての選手やトレーニーに適した手幅を示しているわけではありません。
競技に出場する場合は、この上限を守る必要がありますが、一般的な筋力トレーニングでは、自分の体格や目的に合わせて手幅を調整できます。
また、81cmラインに人差し指を合わせる握り方は、必ずしもすべての人にとって扱いやすいとは限りません。
実際に、手幅を決める際には人差し指だけでなく、中指や薬指を基準にする方法もあります。例えば、81cmラインに中指や薬指を合わせることで、最大幅よりも少し狭い手幅になります。
指1本分の違いでも、肩や肘の動き、バーを押し上げるときの感覚が変わることがあります。
81cmラインに人差し指を合わせることが正解ではありません。ラインを目安にしながら、自分の体に合った握り位置を探すことが大切です。
なお、競技団体によってルールが異なる場合があるため、大会に出場する場合は所属団体の最新ルールを確認してください。
ベンチプレスの手幅による違い
ベンチプレスでは、手幅を変えることでバーの移動距離や関節の動き、筋肉の活動が変化します。
手幅は大きく分けて、ワイドグリップ、ミディアムグリップ、ナローグリップの3種類に分類できます。
ワイドグリップ:手幅を広くした握り方
ワイドグリップは、通常よりも広い位置でバーを握る方法です。
手幅を広くすると、胸にバーを下ろしたときに肘が外側へ開きやすくなります。また、一般的にはバーの移動距離が短くなりやすいという特徴があります。
バーを動かす距離が短くなることは、最大挙上重量を伸ばすうえで有利に働く場合があります。特に、バーを胸から押し上げる距離を短縮できることは、高重量を扱う際のメリットの一つです。
一方で、手幅を広げすぎると、肩関節の動きやコントロールが難しくなる場合があります。
ワイドグリップを採用する場合は、肩の状態やバーの軌道が安定しているかを確認しましょう。
ミディアムグリップ:標準的な手幅
ミディアムグリップは、ワイドとナローの中間にあたる手幅です。
極端に広くも狭くもないため、ベンチプレスを始めたばかりの人が手幅を探す際の出発点として使いやすい方法です。
胸にバーを下ろしたときに前腕が大きく傾かず、手首と肘の位置を安定させやすい幅を探してみましょう。
ただし、ミディアムグリップという言葉に統一された数値基準があるわけではありません。研究によっても、ナロー・ミディアム・ワイドの分類方法は異なります。
そのため、他の人の握り幅をそのまま真似するのではなく、自分のフォームを確認しながら調整することが重要です。
ナローグリップ:手幅を狭くした握り方
ナローグリップは、通常よりも狭い位置でバーを握る方法です。
手幅を狭くすると、肘を伸ばす動作の割合が大きくなり、上腕三頭筋を使う割合が増える傾向があります。
上腕三頭筋は、肘を伸ばす働きをする筋肉です。ベンチプレスではバーを押し上げる動作に関わるため、ナローグリップは上腕三頭筋を重点的に鍛えたい場合のバリエーションとしても活用できます。
一方で、手幅が狭くなるほどバーの移動距離が長くなりやすく、同じ重量でも動作が難しくなる場合があります。
また、極端に狭い手幅では手首や肘の位置が不安定になることもあるため、無理に狭くする必要はありません。
手幅を狭くすると、バーをお腹側に下ろしやすくなるという特徴もあります。バーをお腹側に向かって下ろすフォームは、肩関節の動きやバーの軌道を変えるうえで有効な場合があります。
ワイド・ミディアム・ナローの違いを比較
| 項目 | ワイド | ミディアム | ナロー |
|---|---|---|---|
| 手幅 | 広い | 中間 | 狭い |
| バーの移動距離 | 短くなりやすい | 中間 | 長くなりやすい |
| 肘の動き | 外側へ開きやすい | 中間 | 体側に近づきやすい |
| 筋肉の活動傾向 | 大胸筋の一部の活動が増える傾向 | 複数の筋肉を使う | 上腕三頭筋の活動が増える傾向 |
| 特徴 | 可動距離を短くしやすい | 標準的な手幅 | 肘の曲げ伸ばしが大きくなりやすい |
この比較は一般的な傾向であり、すべての人に同じ結果が当てはまるわけではありません。実際の筋肉の活動や関節の動きは、体格やフォーム、挙上重量などによっても変化します。
手幅によって肩・肘・鎖骨への負担はどう変わる?
ベンチプレスの手幅を考えるとき、バーの移動距離や使われる筋肉に注目する人は多いでしょう。
しかし、高重量を扱うことを目指す場合は、どの筋肉が主に働くかだけでなく、肩・肘・鎖骨・手首にどのように負担がかかるかも重要です。
手幅によって関節の動きが変わるため、広い手幅が合う人もいれば、少し狭い手幅の方がスムーズに動作できる人もいます。
ワイドグリップは肩や手首への負担に注意する
手幅を広くすると、バーの移動距離は短くなりやすくなります。しかし、その分だけ肩関節を大きく動かす必要があり、肩のコントロールが難しくなる場合があります。
特に、手幅を広げすぎると肩の前側に負担が集中することがあります。
また、手首の角度にも注意が必要です。手首が横に折れたり、手のひらに対して前腕が不自然な角度になったりすると、バーを支えるときに余計な負担がかかります。
可動距離を短くするために無理に手幅を広げるのではなく、肩や手首に違和感がなく、安定してバーを支えられるかを確認しましょう。
ナローグリップは肩と肘の動きをバランスよく使う
手幅を狭くすると、肘をしっかり曲げ伸ばしする動作になります。その分、肩関節だけでなく肘関節も使ってバーを押し上げることになります。
このように、ナローグリップでは肩と肘の負担のかかり方が変わり、ワイドグリップに比べて肩への負担が軽減される場合があります。
ただし、これは肩への負担がなくなるという意味ではありません。また、肩への負担をそのまま肘に移せばよいという話でもありません。
肩と肘のどちらか一方に負担が集中するのではなく、両方の関節を無理なく使いながら、スムーズにバーを押し上げられる手幅を探すことが重要です。
負担を完全に均等にすることが正解というわけではありません。体格やフォームによって適切なバランスは異なるため、実際の動作を確認しながら調整しましょう。
ナローグリップでお腹側に下ろす場合は鎖骨にも注意する
手幅を狭くすると、バーをお腹側に下ろしやすくなります。
このようなバーの軌道は、肩関節の動きを調整するうえで有効な場合があります。実際に、手幅を狭くしてお腹側にバーを下ろすことで、動作がスムーズになる人もいます。
ただし、注意したいのが鎖骨周辺への負担です。
手幅を狭くしてバーをお腹側に大きく流すフォームでは、肩関節だけでなく鎖骨周辺にも負担がかかることがあります。
肩の痛みだけに注目するのではなく、鎖骨周辺にも違和感がないか確認することが大切です。
手幅を狭くすれば体に優しい、広くすれば肩に負担がかかるという単純な話ではありません。肩・肘・鎖骨・手首の状態を総合的に確認しましょう。
自分に合ったベンチプレスの手幅を決める方法
自分に合った手幅を見つけるには、実際にバーを握ってフォームを確認することが重要です。
ここでは、初心者でも取り組める具体的なチェック方法を紹介します。
ステップ1:まずは無理のない手幅でバーを握る
最初は、極端に広くも狭くもない手幅から始めます。
バーの81cmラインがある場合は、その位置を参考にしながら、左右の手の位置を決めてみましょう。ただし、81cmラインに必ず合わせる必要はありません。
握るときは、親指をバーに巻きつけるサムアラウンドグリップを基本にします。
親指を巻かないサムレスグリップは、バーが手から滑り落ちる危険があるため、特に初心者は避けましょう。
ステップ2:狭い手幅から少しずつ広げてみる
自分に合った手幅を探す方法として、最初に狭めの位置から握り、そこから指1本分ずつ広げていく方法があります。
例えば、81cmラインを基準にして、小指をラインに合わせた位置から始め、薬指、中指、人差し指というように、少しずつ握る位置を変えていきます。
このようにすると、極端に広い手幅から始めることなく、複数の手幅を比較できます。
81cmラインに人差し指を合わせると最大幅になりますが、必ずしもそこまで広げる必要はありません。中指や薬指を基準にするなど、指1本分の違いで動作の感覚が変わることもあります。
実際に、普段の手幅から少し狭くしたり広くしたりするだけで、肩や肘の動き、バーの押しやすさが変わる場合があります。
最初から一つの手幅に決めつけず、指1本分ずつ位置を変えながら、自分にとって動作がスムーズになる幅を探してみましょう。
ステップ3:バーを胸に下ろしたときの前腕を確認する
軽い重量でベンチプレスを行い、バーを胸まで下ろした状態を確認します。
このとき、次のポイントをチェックしてください。
- 手首の真下に肘がくる位置関係になっているか
- 前腕が極端に内側や外側へ傾いていないか
- 手首が大きく反ったり、左右に折れたりしていないか
- 肩に強い詰まりや痛みが出ていないか
- 鎖骨・肘・手首にも痛みや違和感がないか
特に重要なのは、手首と肘の位置関係です。
バーを下ろしたときに手首が肘よりも大きく外側にずれている場合や、肘が極端に内側に入り込んでいる場合は、手幅を調整する余地があります。
ただし、前腕の角度だけを見て判断するのではなく、実際にバーを押し上げたときの感覚も確認してください。
肩・鎖骨・肘・手首のどこにも痛みやしびれがなく、筋肉の力でスムーズに押し上げられるかどうかを判断基準にしましょう。
横からだけでなく、斜め前から動画を撮影すると、前腕や肘の位置を確認しやすくなります。
ステップ4:手幅を少しずつ変更して比較する
最初に決めた手幅で違和感がある場合は、左右それぞれ指1本分程度を目安に位置を変更してみましょう。
一度に大きく変更すると、手幅による違いなのか、動作に慣れていないことによる違いなのか判断しにくくなります。
変更する際は、次の項目を比較します。
- バーを胸まで下ろしたときの安定感
- 押し上げるときの力の入れやすさ
- バーの軌道を毎回再現できるか
- 肩・鎖骨・肘・手首に違和感がないか
- 筋肉の力でスムーズに挙上できるか
手幅を変えた直後は、動作に慣れていないために挙上重量が落ちることもあります。1回のトレーニングだけで判断せず、複数回にわたって比較しましょう。
ステップ5:体のコンディションに合わせて手幅を調整する
手幅は、一度決めたら常に同じ位置で握らなければならないものではありません。
体のコンディションによって、普段は広い手幅が合っていても、その日は少し狭い手幅の方がスムーズに動作できることがあります。
例えば、体が十分に温まっているときと、疲労が残っているときでは、筋肉の硬さや関節の動きが異なる場合があります。
普段は81cmラインに中指を合わせている人でも、疲労が残っている日や体が十分に温まっていない日には、薬指を合わせた方がスムーズに動作できることもあります。
このように、指1本分の違いでも、肩や肘の動き、バーを押し上げるときの感覚は変わります。
毎回同じ手幅にこだわるのではなく、その日の体の状態も確認しながら調整することが大切です。
普段の手幅を基本にしながらも、疲労や筋肉の硬さなど、その日のコンディションに合わせて微調整できるようにしておきましょう。
ただし、手幅を変えることで痛みを我慢してトレーニングを続けることは避けてください。痛みがある場合は重量を落とす、トレーニングを中止するなど、体の状態を優先しましょう。
ステップ6:動画でフォームを確認する
手幅を比較するときは、スマートフォンなどで撮影する方法も有効です。
特に確認したいのは、バーを胸に下ろした瞬間と、押し上げる途中の動きです。
真横から撮影すると、バーの移動距離や軌道を確認できます。斜め前から撮影すると、手首と肘の位置関係を把握しやすくなります。
撮影する際は、重量や回数、セット数をできるだけそろえて比較すると、手幅による違いを判断しやすくなります。
手幅を比較するときの記録方法
手幅を変更したときは、感覚だけで判断せず、記録を残すことをおすすめします。
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 手幅 | 81cmラインからの位置、指の位置 |
| 重量 | 使用したバーベルの重量 |
| 回数 | 成功した回数 |
| フォーム | バーの軌道、肘の位置、手首の安定性 |
| 関節の状態 | 肩・鎖骨・肘・手首の違和感 |
| コンディション | 疲労の状態、体の温まり具合、筋肉の硬さ |
| 感覚 | 押しやすさ、筋肉の力の入れやすさ |
こうした情報を残しておけば、どの手幅が自分に合っているのかを比較しやすくなります。
自分に合った手幅でベンチプレスができていますか?
手幅やフォームは、体格や柔軟性によって適した形が異なります。
自分では気づきにくいフォームの課題を見直し、無理なく重量アップを目指しましょう。
手幅によってベンチプレスの重量は変わる?
ベンチプレスの手幅を変えると、挙上重量が変化することがあります。
一般的には、手幅を広くするとバーの移動距離が短くなりやすいため、高重量を扱いやすくなる場合があります。一方、手幅を狭くするとバーの移動距離が長くなり、同じ重量でも難しくなる場合があります。
手幅が広いと挙上重量が伸びやすい理由
手幅を広くすることで、バーを胸から押し上げるまでの距離が短くなる場合があります。
バーを動かす距離が短くなると、同じ重量を持ち上げるために必要な仕事量も小さくなるため、最大挙上重量を伸ばすうえで有利に働く場合があります。
ただし、手幅を広くすれば必ず重量が伸びるわけではありません。肩の動きが不安定になったり、力を発揮しにくくなったりする場合もあります。
また、個人の体格やフォームによっても結果は変わります。
可動距離は短いほど有利とは限らない
ベンチプレスで高重量を扱う場合、バーの移動距離は重要な要素です。
そのため、手幅を広げて可動距離を短くした方が有利だと考える人もいるでしょう。
しかし、可動距離が短いことが、すべての人にとって最も重量を扱いやすい条件になるわけではありません。
ある程度バーを動かす距離を確保した方が、肩や肘の関節を自然に動かせて、スムーズに押し上げられる場合もあります。
手幅を広くしすぎることで肩関節のコントロールが難しくなるのであれば、少し狭くして動作を安定させた方が、結果的に重量を扱いやすくなる可能性があります。
反対に、手幅を狭くした場合はバーの移動距離が長くなりやすいものの、肩と肘の負担のバランスが変わり、動作がスムーズになる人もいます。
ベンチプレスでは、バーを胸から押し上げる途中で動きが停滞するスティッキングポイントが生じることがあります。
手幅によって、この停滞する局面の位置が変化することも報告されています。
可動距離を短くすることだけを優先するのではなく、自分が最も安定して力を発揮できる手幅を探すことが重要です。
ケガをしないフォームが高重量への近道
ベンチプレスで重量を伸ばすことを考えると、どうしても1回でも多く、少しでも重い重量を挙げることに意識が向きがちです。
しかし、肩や肘などを痛めてしまい、トレーニングを継続できなくなれば、長期的に重量を伸ばすことは難しくなります。
一時的な挙上重量だけで判断するのではなく、関節に無理な負担がかからず、安定してトレーニングを続けられるフォームを身につけることが重要です。
ケガをせずにトレーニングを継続できることが、高重量を目指すうえで大切な条件です。
手幅によって使われる筋肉は変わる?
ベンチプレスでは、大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部などの筋肉が動作に関わります。
手幅を変えると、これらの筋肉の活動にも違いが生じることが研究で報告されています。
2005年の研究では、手幅を狭くすることで上腕三頭筋の活動が増加し、手幅を広くすることで大胸筋の一部の活動が増加する傾向が確認されました。
また、2021年に発表された研究では、初心者とトレーニング経験者を対象に手幅の違いを比較しています。その結果、ワイドグリップでは上腕三頭筋の活動が低くなる傾向があり、ナローグリップでは6回反復できる重量が低くなることが報告されています。
ただし、これらは特定の条件で測定した筋活動や挙上能力を示すものです。ワイドグリップなら大胸筋だけ、ナローグリップなら上腕三頭筋だけを鍛えられるというわけではありません。
筋肥大を目的にする場合の手幅
大胸筋を大きくしたい場合でも、必ずワイドグリップにする必要はありません。
筋肥大を目指すうえでは、適切な負荷をかけながら、十分な可動域で安定した動作を繰り返すことが重要です。
ワイドグリップでは大胸筋の一部の活動が増える傾向がありますが、肩の違和感が強くなるのであれば無理に採用する必要はありません。
反対に、上腕三頭筋を重点的に鍛えたい場合は、ナローグリップを補助種目として取り入れる方法があります。
筋肥大の効果は手幅だけで決まるものではありません。トレーニングの総量、負荷、回復、栄養なども含めて考える必要があります。
ベンチプレスの手幅で注意したいポイント
ここまで解説したように、手幅によって肩や肘などの関節の動きや負担は変わります。実際にトレーニングを行うときは、手幅だけでなく、重量やフォーム全体にも注意しましょう。
手幅を変更するときは重量を落として確認する
普段の手幅から大きく変更すると、バーの軌道や筋肉の使い方が変わります。
そのため、これまでと同じ重量でいきなりトレーニングを行うのはおすすめできません。
まずは軽い重量から始め、手首や肘の位置、バーの軌道を確認しながら徐々に負荷を上げていきましょう。
新しい手幅に慣れるまでには時間がかかる場合があります。1回のトレーニングで結論を出さず、複数回にわたって比較することが大切です。
手幅だけでフォームの良し悪しは決まらない
ベンチプレスでは、手幅以外にも、肩甲骨の位置、ブリッジ、足の踏ん張り、バーを下ろす位置など、さまざまな要素が関係します。
例えば、手幅が適切でも、肩甲骨が安定していなければバーを押し上げるときに力が逃げてしまうことがあります。
また、バーを下ろす位置が毎回変わってしまうと、同じ手幅でも肘や肩の動きが変化します。
手幅を調整するときは、その他のフォームもできるだけ一定に保ち、何を変えたことで動作が変わったのかを確認しましょう。
なお、体のコンディションによっては、普段と同じ手幅でも違和感が出る場合があります。前述したように、その日の状態に合わせて指1本分程度の調整を行うことも一つの方法です。
痛みや違和感がある場合は無理をしない
手幅を調整しても肩や肘、手首などに痛みが出る場合は、無理にトレーニングを続けないようにしましょう。
痛みの原因は手幅だけとは限りません。重量やフォーム、疲労なども関係する可能性があります。
痛みが強い場合や長引く場合はトレーニングを中止し、医療機関などに相談してください。
ベンチプレスの手幅に関するよくある質問
ベンチプレスの手幅は肩幅の何倍が目安ですか?
肩幅の何倍という数値だけで、適切な手幅を決めることはできません。
肩幅に加えて、腕の長さや胸郭の厚み、肩関節の可動域、ブリッジの高さなども関係します。
まずはバーを胸に下ろしたときに、手首と肘の位置が安定する幅を探してみましょう。
さらに、肩・鎖骨・肘・手首に痛みや違和感がなく、スムーズに押し上げられるかどうかも確認してください。
ベンチプレス初心者はワイドとナローのどちらがおすすめですか?
初心者の場合は、最初から極端なワイドやナローにする必要はありません。
まずは無理のない手幅でバーを握り、バーを胸に下ろしたときの前腕や手首、肘の位置を確認しながら調整することをおすすめします。
81cmラインを基準にするなら、薬指や小指を合わせるような少し狭い位置から試す方法もあります。
正しいフォームを身につける段階では、重量を追い求めるよりも、毎回安定した動作を再現できることを優先しましょう。
手幅を広くするとベンチプレスの重量は伸びますか?
手幅を広くするとバーの移動距離が短くなりやすいため、挙上重量が伸びる場合があります。
ただし、手幅を広くすれば必ず重量が伸びるわけではありません。肩や肘の位置が不安定になったり、力を発揮しにくくなったりする場合もあります。
実際に複数の手幅を比較し、自分が最も安定して力を発揮できる位置を探すことが重要です。
ベンチプレスの81cmラインはどこに合わせればよいですか?
81cmラインは、パワーリフティング競技で手幅の上限を確認するための目印です。
IPFのルールでは、左右の人差し指の間隔が最大81cmと定められています。
ただし、81cmラインに人差し指を合わせることが、一般的なトレーニングにおける理想の手幅というわけではありません。
中指や薬指を基準にするなど、少し狭い位置で握る方法もあります。競技に出場しない場合は、81cmラインを目安にしながら、自分の体格やフォームに合った手幅を探しましょう。
ベンチプレスで肩が痛い場合は手幅を狭くした方がよいですか?
手幅を狭くすることで肩の動きや負担が変わり、違和感が軽減する場合はあります。
しかし、肩の痛みの原因は手幅だけとは限りません。肩甲骨の位置やバーを下ろす位置、重量、可動域なども確認する必要があります。
また、手幅を狭くした場合は肘や鎖骨周辺への負担が変わることもあります。単純に狭くすれば解決するというわけではありません。
痛みが出ている状態で無理にトレーニングを続けるのは避けましょう。痛みが強い場合や継続する場合は、医療機関などに相談してください。
ベンチプレスの手幅は途中で変更してもよいですか?
手幅を変更すること自体に問題はありません。
ただし、手幅を変えるとバーの移動距離や肘の動き、筋肉の使われ方が変化します。そのため、変更した直後は重量を落とし、フォームを確認しながら慣らしていきましょう。
また、毎回手幅を大きく変えるのではなく、一定期間同じ幅でトレーニングを行い、重量やフォームの変化を比較すると判断しやすくなります。
一方で、体のコンディションによって手幅を微調整することはあります。普段の手幅を基本にしながら、その日の体の状態に合わせて指1本分程度の変更を試してみるのもよいでしょう。
まとめ:自分に合った手幅を見つけてベンチプレスの質を高めよう
ベンチプレスの手幅には、全員に共通する絶対的な正解があるわけではありません。
ワイドグリップはバーの移動距離が短くなりやすく、ナローグリップは上腕三頭筋の活動が増える傾向があります。しかし、実際の挙上重量や筋肉の使われ方は、体格やフォーム、トレーニング目的によって変わります。
さらに、手幅を変えることで肩・肘・鎖骨・手首にかかる負担も変化します。可動距離を短くすることだけを優先して、関節に無理な負担がかかる手幅を選ぶ必要はありません。
自分に合った手幅を見つけるためには、次のポイントを確認しましょう。
- 腕の長さや肩甲骨の位置、ブリッジの高さなども考慮する
- バーを胸に下ろしたときの前腕と肘の位置を確認する
- 手首が不自然な角度になっていないか確認する
- 肩・鎖骨・肘・手首に痛みやしびれが出ない幅を選ぶ
- 狭い手幅から指1本分ずつ広げて、動作の違いを比較する
- 挙上重量だけでなく、スムーズに押し上げられるかを確認する
- 体のコンディションに合わせて手幅を微調整する
- 動画やトレーニング記録を活用して客観的に判断する
手幅はベンチプレスのフォームを構成する重要な要素の一つです。しかし、手幅だけを調整しても、思うように重量が伸びないことがあります。
肩甲骨の位置やブリッジ、足の使い方、バーの軌道なども含めてフォーム全体を見直すことで、より安定したベンチプレスにつながります。
特に、最初から可動距離を短くすることだけを目指すのではなく、自分の体に合った手幅を探すことが大切です。
ケガをしないフォームでトレーニングを継続し、体のコンディションに合わせて調整しながら、安定して力を発揮できる手幅を見つけていきましょう。
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自分に合った指導で、ベンチプレスの可能性を広げましょう。
自分に合ったフォームで、もっと強いベンチプレスへ。
手幅だけでなく、ブリッジやバーの軌道、体の使い方も挙上重量に関わります。
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