ベンチプレスが伸びない人へ|サイクルトレーニングと「8回×2 5回×1」の考え方
ベンチプレスが停滞したら、重量を下げるのも一つの方法
「ベンチプレスの重量がなかなか伸びない」「毎回MAXに挑戦しているのに記録が更新できない」「以前は挙がっていた重量が重く感じる」
ベンチプレスを続けていると、このような停滞を経験することはありませんか?
そんなベンチプレスが伸びなくなったとき、ただMAXに挑戦し続けるのではなく、一度重量を落として、そこから段階的に重量を上げていく方法があります。
これは、ベンチプレスのサイクルトレーニングの基本的な考え方の一つでもあり、その具体例として「8回×2セット+5回×1セット」という方法です。
この方法の特徴は、単純に軽い重量からやり直すだけではありません。
「次の週に8回で扱う予定の重量を、今週5回だけ先に経験しておく」という考え方を取り入れることが重要なんです。
この記事では、ベンチプレスが停滞したときに重量を落とす理由と、サイクルトレーニングの考え方、そして8回・5回を組み合わせた具体的なトレーニング方法について詳しく解説します。
この記事のポイント
- ベンチプレスが停滞したときは、重量を一度落とす方法がある
- 「8回×2セット+5回×1セット」という構成で進める
- 5回セットでは、次週に8回で扱う予定の重量を先に経験する
- 重量が上がるほど、補助トレーニングの負荷を下げることも重要
- 高重量を扱うときほど、重量だけでなくフォームやコースを優先する
この記事の結論
ベンチプレスが停滞したときは、毎回MAXに挑戦し続けるのではなく、一度重量を下げて、段階的に重量を上げ直す方法があります。
今回紹介するのが、8回×2セットを行った後に、次週の8回セットで使う重量を5回だけ先に経験する方法です。
「今週の5回」が「次週の8回」につながるように設定することで、次に扱う重量を事前に経験しながら、少しずつ重量を伸ばしていきます。
ベンチプレスの停滞期に「重量を下げる」のはなぜ?
ベンチプレスの記録が伸びなくなると、「もっと重い重量を持たなければ」と考えてしまいがちです。
しかし、毎回のようにMAX付近の重量へ挑戦していると、トレーニングによる疲労が蓄積し、フォームや動作の質を維持することが難しくなるものです。
そこでオススメしたいのが、一度重量を下げて、そこから再び重量を積み上げていく方法です。
僕も過去に怪我などが理由でトレーニングができない時期がありましたが、重量を落とした状態からトレーニングをやり直していくことで、最終的にMAXが伸びた経験があります。
ここで重要なのは、「重量を下げる=後退」ではないということです。
今のMAXが100kgだからといって、常に100kgに近い重量を扱い続けなければ強くなれないわけではありません。
むしろ、一度負荷を下げることで、フォームを安定させながら再び重量を積み上げるための余裕を作ることができます。
「軽すぎる」と感じても、すぐに重量を増やさない
重量を下げたトレーニングを始めると、最初は「これでは軽すぎるのでは?」と不安を感じるかもしれません。
例えばMAX100kgの人が65kg程度から始める場合、普段のトレーニングと比べてかなり軽く感じる可能性があります。
しかし、ここで「まだ余裕があるから」と5kg、10kgと重量を追加してしまうと、最初に設定したプログラムの意味が変わってしまいます。
最初の段階で軽いこと自体を問題にしないことが、この方法を進めるうえで重要です。
ポイント
「軽いからもっと重くしよう」ではなく、これから重量を伸ばしていくために、あえて余裕を残してスタートすると考えてください。
「ベンチプレスのサイクルトレーニングとは?重量を伸ばす基本プログラムを解説」の記事はこちら
ベンチプレスの「メモリー」とは?以前の重量に戻りやすい理由
ここで一つキーワードとして考えているのが「メモリー」です。
いわゆる「マッスルメモリー」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
例えば、以前ベンチプレス100kgを挙げていた人が、ケガや休養などによってトレーニングを中断したとします。
その後トレーニングを再開すると、最初から100kgを挙げられるわけではなくても、ある程度トレーニングを続けることで以前扱っていた重量付近まで比較的スムーズに戻っていくように感じることがあります。
自分自身も、こうした経験を何回もしてきました。
ただ、「筋肉が重量を記憶しているから必ず以前の重量まで戻る」と断定はできません。
ここで重要なのは、「以前経験した重量やフォームに対して、身体がある程度慣れている(覚えている)状態を利用する」という考え方です。
以前の重量までは戻れるのに、その先が難しい
例えば、100kgまで挙げられるようになった人が一度トレーニングを落とした場合、100kg付近までは比較的戻りやすくても、102.5kgや105kgといった「以前経験したことのない重量」になると、そこから先が難しくなるというケースがあります。
これは今回のトレーニング方法を理解するうえで重要なポイントです。
つまり、
- 以前経験した重量
- これから初めて経験する重量
では、心理的にも技術的にも感じ方が違うということです。
そこで考えているのが、次に扱う重量を完全に初見にしないという事です。
ここまでの一般的な停滞対策を踏まえて、実際に吉川望がどのような重量設定を提案しているのかを動画で確認できます。8回×2セット+5回×1セットの考え方や、重量を上げていく具体的なイメージを知りたい方は、ぜひ動画もご覧ください。
「8回×2セット+5回×1セット」
今回紹介するメインセットは非常にシンプルです。
| セット | 回数 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1セット目 | 8回 | 余裕を持って8回できる重量 |
| 2セット目 | 8回 | 同じ重量で8回 |
| 3セット目 | 5回 | 次週の8回セットで使う重量を先に経験 |
ポイントは、単純に「8回×3セット」を行うのではなく、3セット目だけ重量を上げて5回行うことです。
この5回セットが、次週への橋渡しになります。
MAX100kgの場合の具体例
MAX100kgの人を例に重量設定を考えてみます。
あくまで一例ですが、最初の週を次のように考えることができます。
| 週 | 8回×2セット | 5回×1セット |
|---|---|---|
| 1週目 | 65kg | 67.5kg |
| 2週目 | 67.5kg | 70kg |
| 3週目 | 70kg | 72.5kg |
| 4週目 | 72.5kg | 75kg |
例えば1週目なら、
65kg×8回×2セット → 67.5kg×5回×1セット
です。
そして2週目は、
67.5kg×8回×2セット → 70kg×5回×1セット
と進めます。
つまり、今週5回で経験した重量が、次週には8回のメインセットになるわけです。
ポイントは「次週のメインセットの重量を先に経験しておく」こと
この方法の面白いところは、単純に重量を少しずつ増やしているだけではないことです。
この考え方を「ポジティブなフライング」「戦略的なフライング」と表現しています。
例えば、今週65kgで8回を行うとします。
次週は67.5kgで8回を目指します。
通常なら、67.5kgという重量は次週になって初めて8回セットで経験することになります。
しかし今回の方法では、今週の最後に67.5kgを5回だけ持っておきます。
すると次週、67.5kgは「初めて見る重量」ではありません。
すでに一度、5回という形で経験した重量を、今度は8回に挑戦するという流れになります。
なぜ8回×3セットではなく、5回セットを入れるのか
「65kgを8回×3セットではダメなの?」
もちろん、8回×3セットというトレーニング自体が悪いわけではありません。
しかし、今回の考え方では、3セット目を同じ重量で繰り返すより、次週の重量を5回だけ経験しておくことに意味があります。
今週のトレーニングだけを見るのではなく、
「次の週に何をするのか」まで含めて1回のトレーニングを考える
という発想です。
この考え方を採用すると、トレーニングが「その日の記録を出す作業」ではなく、「次の重量へ進むための準備」になります。
2.5kgずつ重量を上げていく
動画内の例では、65kg、67.5kg、70kg……というように、2.5kgずつ重量を上げていきます。
ただし、これはすべての人が必ず同じ重量・同じペースで進めるという意味ではありません。
現在のMAX、トレーニング経験、頻度、フォーム、疲労状態などによって適切な重量設定は変わります。
特にベンチプレスでは、同じ100kgのMAXでも、普段のトレーニング内容やフォーム、体格などによって適切なスタート重量は異なります。
そのため、今回紹介した65kgという数字そのものを「正解」と考えるのではなく、「次の週の重量を、今週少ない回数で先に経験する」という仕組みを理解することが重要です。
重量が伸びてきたら、補助トレーニングを減らす
メインセットだけでなく、補助トレーニングについても重要な話があります。
ベンチプレスの強度が低い時期には、むしろ補助トレーニングを多く行い、ベンチプレスの重量が上がってきたら補助トレーニングの強度を下げるという考え方です。
これは非常にシンプルに考えることができます。
| ベンチプレスの状態 | 補助トレーニング |
|---|---|
| メイン重量が軽い | 比較的多く行える |
| 8回重量が上がってきた | 徐々に調整する |
| 5回・1回など高重量になってきた | 負荷を下げて疲労を抑える |
ベンチプレスのメインセットが軽い時期であれば、ダンベルやケーブル、背中、肩、脚などのトレーニングにも取り組みやすいです。
一方、ベンチプレスそのものが高重量になってくると、同じ量の補助トレーニングを続けることで疲労が大きくなります。
そこで、メイン種目と補助種目を「天秤」にかけるように考えます。
ベンチプレスを伸ばしたいなら、ベンチプレスの重量が上がるほど、ベンチプレス以外の疲労を抑える。
これが今回の重要な考え方の一つです。
「まだできる」からといって補助種目を増やし続けない
トレーニングをしていると、「まだ体力が残っているから、もう少しやれる」と感じることがあります。
しかし、頭で思っているほど身体は頑丈ではありません。
そのため、メインのベンチプレスが重くなっている時期に、補助種目まで同じように高い負荷で続けてしまうと、結果的にメイン種目のパフォーマンスに影響する可能性があります。
ベンチプレスのMAX更新を最優先するのであれば、「何種目できるか」ではなく「何を伸ばしたいのか」からトレーニング量を考えることが大切です。
高重量になるほど「重量」よりフォームとコースを優先する
ここでは、過去に行っていた「ゴーモンベンチプレス」という独自のトレーニングについても紹介します。
これは、ウォーミングアップ後に試合形式の第1試技・第2試技・第3試技を行い、その後に8RM×8セットを行い、さらにもう一度試合形式の試技を行うという非常に負荷の高いトレーニングです。
180kg、190kg、195kgといった重量を扱った後に8RM×8セットを行い、その後もう一度試技形式に戻るという内容です。
ただし、この方法はトレーニング歴が長い選手などを想定したもので、一般的なトレーニーが2時間ベンチプレスを続けるのは現実的ではありません。
ここで重要なのが、疲労した状態でもフォームやバーのコースを崩さないという考え方です。
高重量を扱うからといって、重量を挙げることだけを目的にしてしまうと、フォームが崩れる可能性があります。
疲労した状態でMAXに挑戦するからこそ、フォームやコースが試されます。
つまり、重量を追いかけるときにも、
「何kg挙がったか」だけではなく、「どのようなフォームで挙がったか」
を見る必要があります。
ベンチプレスの停滞を突破するために大切な5つの考え方
今回の内容を、実践する際のポイントとして整理すると次の5つにまとめられます。
1.毎回MAXに挑戦しない
MAX更新を目指しているからといって、毎回MAX付近の重量を持つ必要はありません。
重量を落とし、そこから段階的に上げていくことも、MAX更新に向けたトレーニングの一つです。
2.軽い重量から始めることを怖がらない
最初の重量が「軽すぎる」と感じても、すぐに重量を追加しないことが重要です。
最初に余裕を残すことで、次の週、その次の週と重量を上げていく余地を作ります。
3.次週の重量を今週5回だけ経験する
今回のプログラム最大のポイントです。
8回×2セットを行った後、次週に8回で使う重量を5回だけ経験する。
この「予習」によって、次の週に扱う重量を完全な初見にしないという考え方です。
4.フォームと起動(コース)を優先する
重量が重くなってきても、フォームを崩してまで重量を追いかけないようにします。
特にベンチプレスで重量を伸ばしたい人にとっては、安定したフォームを繰り返すことも重要なトレーニングの一部です。
5.ベンチプレスが重くなったら補助種目を調整する
メイン種目の重量が上がっているのに、補助種目まで同じように増やしてしまうと、疲労管理が難しくなります。
ベンチプレスの強度が上がるにつれて、補助種目の量や強度を調整していきましょう。
「自分の場合、何kgから始めればいい?」と思ったら
まとめ|ベンチプレスの停滞期は「重量を下げる」ことも選択肢
ベンチプレスの重量が伸びなくなると、「もっと重い重量をやらなければ」と考えてしまいがちです。
しかし、今回伝えたいのは、重量を伸ばすために、あえて一度重量を落とすという考え方です。
特に今回紹介した、
8回×2セット → 次週の重量で5回×1セット
という構成は、単純に重量を上げていくだけではなく、次週に扱う重量を先に経験しておくという点に特徴があります。
例えば、
65kg×8回×2セット → 67.5kg×5回
と行えば、次週は67.5kgを8回のメインセットにできます。
このように、今週のトレーニングを「今日のため」だけに考えるのではなく、次の週、その次の週まで見据えて重量を組み立てることがポイントです。
また、ベンチプレスの重量が上がってきたら、補助トレーニングの量や強度を調整することも忘れてはいけません。
ベンチプレスを強くしたいのであれば、すべての種目を限界まで行うのではなく、その時期に最も伸ばしたいものへ疲労とトレーニング量を配分することが重要です。
重量設定について
今回紹介した65kgなどの重量は、あくまで一例です。実際にどの重量から始めるべきかは、現在のMAX、普段のセット重量、トレーニング頻度、フォーム、疲労状態などによって変わります。
「自分の場合は何kgから始めればいいのか分からない」「8回と5回をどう設定すればいいのか分からない」「重量を落としても本当に伸びるのか不安」という方は、自分の現在地を確認したうえでプログラムを組むことが大切です。
個人のMAXやトレーニング頻度によって適切な進め方は変わるため、一律の重量設定を提示することは難しいです。
自分のベンチプレスを客観的に見てもらいたい場合は、フォームや現在のトレーニング内容を専門家に確認してもらうのも一つの方法です。
「何を変えれば、もっとベンチプレスが伸びる?」
重量設定やフォーム、トレーニング方法は、現在のレベルや練習環境によって変わります。
自分に合った方法を知りたい方は、ベンチプレス専門のパーソナル指導「吉川導場」をご覧ください。
