ベンチプレスで肩が痛い原因は?フォーム・手幅・下ろす位置を解説
ベンチプレスを続けていると、「胸を鍛えたいのに肩が痛い」「重量を上げると肩の前側が痛くなる」「フォームを変えているのに痛みがなくならない」と悩むことがあります。
ベンチプレスは正しく行えば長く続けられる種目ですが、フォームの小さなズレが積み重なることで、肩や肘などに余計な負担がかかることがあります。
特に見直したいのが、肩甲骨の左右差・肘の位置・手幅・バーベルを下ろす位置です。
この記事では、ベンチプレスで肩が痛くなる原因とフォームのチェックポイントを初心者にも分かりやすく解説します。
ベンチプレスで肩が痛いとき、まず何を疑うべき?

ベンチプレスで肩が痛くなると、「重量が重すぎたのかな」「筋肉が足りないのかな」と考える人が多いかもしれません。
もちろんトレーニング量や重量設定も関係します。ここでは、まず「左右差」と「肘の位置」という2つのポイントに注目していきます。
人間の体は、もともと完全に左右対称ではありません。利き手があるように、日常生活の中でも左右差は自然に生まれます。
問題になるのは、左右差そのものではありません。
ベンチプレスという大きな重量を扱う動作の中で、左右差が大きくなってしまうことです。
例えば、右肩はベンチにしっかりついているのに、左肩だけ浮いている。あるいは、バーベルが毎回少し斜めになっている。
このような状態でも、重量そのものは挙げられてしまう場合があります。
しかし、「挙げられる=フォームに問題がない」とは限りません。
左右どちらかに負担が偏ったままトレーニングを繰り返せば、その小さなエラーが積み重なっていく可能性があります。
肩の痛みを感じたら「痛みに耐えて続ける」のではなく、まずフォームのエラーを探すことが重要です。
また、肩の痛みがある場合、原因を自己判断だけで決めつけるのも避けましょう。痛みが強い、長引く、日常生活でも痛む、腕を動かしにくいといった場合は、トレーニングを中止して医療機関へ相談することが大切です。
この記事のポイント
- ベンチプレスの肩の痛みは、左右差やフォームの崩れが関係することがある
- 肩甲骨は左右差が出ないようにセッティングする
- バーベルの真下に肘がくる位置を意識する
- 手幅を変えると肘の角度やバーのコースも変わる
- 手幅を変えたら、バーベルを下ろす位置も合わせて変える
- トレーニング頻度を増やす場合も、毎回高重量にする必要はない
結論:ベンチプレスで肩が痛い場合は、単純に「肩が弱い」と考えるのではなく、肩甲骨の左右差、肘がバーベルの真下にあるか、手幅と下ろす位置が合っているか、そしてフォームが疲労で崩れていないかを確認しましょう。特に手幅を変えた場合は、下ろす位置もセットで調整することが重要です。
肩甲骨の左右差が、肩への負担につながる
ベンチプレスのフォームを組むとき、「肩甲骨を寄せる」という言葉をよく聞きます。
しかし、単純に肩甲骨を寄せればいいというわけではありません。
重要なのは、左右の肩甲骨をできるだけ均等にベンチへつけ、その状態を維持することです。
重量が軽いときには問題なくても、重量が重くなった途端に肩ごと浮いてしまうケースがあります。
例えば、右の肩甲骨はベンチについたままなのに、左だけが開いてしまう。
この状態でバーベルを押し続ければ、当然ながら左右で受ける負担も変わってきます。
肩甲骨を「片方ずつ」入れていないか確認する
初心者から中級者に多いのが、肩甲骨を片方ずつセッティングする方法です。
例えば、最初に右の肩甲骨を寄せ、その右側を軸にして左の肩甲骨を寄せる。
一見すると問題なさそうですが、この方法では最初に入れた側を基準にしてしまうため、左右の位置がズレる可能性があります。
そこで意識したいのが、「左右を同時に寄せる」という考え方です。
- ベンチに寝る
- グリップを決める
- 左右の肩甲骨を同時に内側へ寄せる
- そのまま下方向へ安定させる
- 胸を張った状態でラックアップする
もちろん、人によって身体の構造やフォームは違います。重要なのは「肩甲骨を最大限寄せること」だけではなく、自分のフォームの中で左右差を小さくし、安定した土台を作ることです。
重量が重くなったときに肩が浮いていないか
フォームチェックをするときは、軽い重量だけを見るのでは不十分です。
軽い重量ではきれいにできていても、重量が重くなると肩が前に出る、片側だけ浮く、バーベルが傾くということがあります。
そのため、可能であればスマートフォンなどで横や正面から撮影して確認してみましょう。
特にチェックしたいのは次のポイントです。
- ラックアップした直後に肩甲骨がズレていないか
- ボトムで片方の肩が浮いていないか
- 押し始めで片側だけ先に上がっていないか
- 疲れてきたセット後半でフォームが変化していないか
フォームは「一番きれいにできた1回」ではなく、セット全体を通して再現できるかが重要です。
肩を守るカギは「バーベルの真下に肘」を作ること
肩の痛みを考えるうえでもう一つ重要なのが、肘の位置です。
「バーベルが乗る位置の真下に肘があるか」という考え方があります。
ベンチプレスでは、バーベルを押す力をできるだけ効率よく伝えたいところです。
ところが、バーベルの真下から肘が外れてしまうと、単純な「押す動作」ではなく、肩を支点にしたような動きになってしまいます。
例えば、肘が外側へ大きく開いている状態を考えてみましょう。
このとき、バーベルを支える位置と肘の位置がズレています。
「バーの真下に肘があるか?」を確認するだけでも、フォームをチェックする一つの基準になります。
前腕が床に対しておおむね垂直になる位置を探す
初心者がフォームを確認するときは、横から見て「前腕が床に対しておおむね垂直になっているか」を見ると分かりやすくなります。
| チェック項目 | 確認したい状態 | 見直したい状態 |
|---|---|---|
| 肘 | バーベルの真下に近い | バーから肘が大きく外れている |
| 前腕 | 床に対しておおむね垂直 | 大きく斜めになっている |
| 手首 | バーベルを安定して支えられる | バーが手の中で転がる |
ここで大切なのは、「肘を絶対に何度にする」という数字を覚えることではありません。
体格や腕の長さ、胸郭、ブリッジの高さなどによって、適したフォームは変わります。
そのため、角度を数字だけで決めるのではなく、バーベル・手首・肘・前腕の位置関係を見ることをおすすめします。
左右に傾くようなら重量を下げる
もう一つ重要なのが、セット中にフォームが崩れた場合です。
例えば、左側だけ下がりながらも「まだ1回できる」として、そのまま回数を続けてしまう。
これは注意したいパターンです。
「挙がったからOK」ではなく、左右均等にコントロールできる重量と回数に設定し直すという考え方が必要になります。
肩に違和感がある人ほど、重量を落とすことを「弱くなること」と考えないことが重要です。
むしろフォームを整え、再現性を高めるための調整と考えましょう。
手幅を変えたら、バーベルを下ろす位置も変わる

ここが、肩の痛みを考えるうえで特に重要なポイントです。
「肩が痛いから手幅を変えてみよう」と考える人は多いでしょう。
しかし、手幅だけを変えて、バーを下ろす位置を以前と同じにしてしまうと、フォーム全体のバランスが変わってしまいます。
手幅を変えると、肘の開き方が変わります。
肘の開き方が変われば、バーベルを自然に動かせるコースも変わります。
つまり、
手幅が変わる
↓
肘・脇の角度が変わる
↓
バーベルのコースが変わる
↓
下ろす位置も変わる
という関係があります。
広い手幅と狭い手幅では、バーのコースが変わる
一般的に手幅を広くすると肘が外側へ開きやすくなり、バーベルを下ろす位置も上側へ寄りやすくなります。
反対に、手幅を狭くすると肘を体側へ寄せやすくなるため、バーベルをお腹側へ流すようなコースになりやすくなります。
ここで大事なのは、「絶対にこの場所に下ろさなければならない」ということではありません。
自分の手幅と肘の位置に対して、無理なく前腕が安定する着地点を探すことがポイントです。
| 手幅 | 起こりやすい変化 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 広くする | 肘が開きやすい | 下ろす位置が高くなりすぎていないか |
| 狭くする | 肘が体側へ入りやすい | お腹側へ流すコースを作れているか |
特に「手幅を変えたら肩が痛くなった」という人は、手幅だけではなくその手幅に合わせて下ろす位置や肘の位置までセットで確認することが大切です。
中上級者は「下ろす位置」ではなく「コース」で考える
中上級者になると、「乳首」「胸の中央」「みぞおち」など、着地点を固定して考えたくなるかもしれません。
しかし、体格や手幅、ブリッジの高さが変われば、最適なコースも変わります。
そこで一歩進んだ考え方として、「どこに下ろすか」だけではなく「肘と前腕が安定した状態で、どんなコースを通るか」を確認してみましょう。
フォームの改善では、着地点だけを動かすのではなく、手幅→肘→前腕→下ろす位置→押し返すコースを一つの動作として見ることが重要です。
肩が痛い原因を「手幅が悪い」と一つに決めつけていませんか?
手幅を変えても痛みやフォームの違和感が残る場合は、肩甲骨・肘・バーのコースまでまとめて確認することが大切です。
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トレーニング頻度を増やすときも「毎回重くする」必要はない
肩の痛みを防ぎながらベンチプレスを強くしていくためには、フォームだけでなくトレーニング頻度と疲労の管理も考える必要があります。
ベンチプレスを強くするために「ベンチプレスという動作を行う頻度を増やす」という考え方もあります。
ここで誤解したくないのが、「頻度を増やす=毎回高重量を持つ」ではないということです。
例えば週2回ベンチプレスを行っている人なら、背中の日や脚の日に軽いベンチプレスを追加するという考え方もあります。
重要なのは、毎回限界重量に挑戦することではなく、軽い重量でもベンチプレスという動作を繰り返して、フォームを安定させることです。
頻度を増やす目的は「フォームを固める」こと
ベンチプレスが強くなる理由として、単純に筋肉が増えることだけではなく、「フォームがブレなくなること」「フォームが固まること」が大きな要素として挙げられます。
これは肩の痛みを考えるうえでも重要なポイントです。
フォームが毎回変わってしまえば、肩や肘にかかる負担も毎回変化します。
反対に、同じフォームを繰り返し練習できれば、自分にとって安定した動作を身につけやすくなります。
つまり、頻度を増やす場合は、
- 高重量の日
- 中重量の日
- フォーム確認を目的とした軽い日
など、目的を分けて考える方法があります。
もちろん、肩に痛みがある状態で無理に頻度を増やすという意味ではありません。
痛みが出ている場合は、まず痛みの原因を確認し、必要に応じてトレーニング量を落とすことを優先してください。
中上級者は「フォームが崩れない回数」を基準にする
中上級者になると、重量や回数を基準にトレーニングを管理することが多くなります。
そこにもう一つ、「フォームの再現性」という基準を加えてみてください。
例えば10回できる重量であっても、7回目から肩が浮くのであれば、その人にとっては「10回のベンチプレス」ではなく、「7回まで安定して行えるベンチプレス」と考えることができます。
これは重量を伸ばすうえでも重要です。
フォームが崩れた状態で回数を積むよりも、安定したフォームで反復できる範囲を積み重ねるほうが、自分の動作を把握しやすくなります。
肩を痛めないために、今日から確認したい5つのポイント

ここまでの内容を、実際のトレーニング前に確認できる形にまとめます。
①肩甲骨が左右均等にベンチについているか
まずは左右の肩甲骨の位置を確認しましょう。
片側だけが浮いていないか、ラックアップした瞬間に肩が前へ出ていないかを確認します。
②セット中に肩が浮いていないか
最初の1回だけではなく、セット後半まで肩甲骨が安定しているか確認します。
重量が重くなるほど肩が浮くのであれば、その重量は現在のフォームを維持するには重すぎる可能性があります。
③バーベルの真下に肘があるか
横から動画を撮影して、ボトム付近で前腕がどのようになっているか確認してみましょう。
「バーベルの真下に肘がある」という感覚を身につけることが、フォームを安定させる一つの基準になります。
④手幅と下ろす位置がセットになっているか
手幅だけを変えて、以前と同じ場所にバーを下ろしていないでしょうか。
手幅が変われば肘の角度が変わり、バーのコースも変わります。
したがって、手幅・肘・下ろす位置は別々ではなく、一つのセットとして考えることが重要です。
⑤フォームが崩れるまで追い込んでいないか
最後の1回まで何としても挙げることが、必ずしも良いトレーニングとは限りません。
左右差が大きくなったり、肩が浮いたり、バーベルが大きく傾いたりするのであれば、重量や回数を調整しましょう。
肩が痛いときのフォームチェックリスト
- 肩甲骨は左右均等にベンチについているか
- ラックアップで肩が前に出ていないか
- セット後半で肩が浮いていないか
- バーベルの真下に肘があるか
- 前腕が大きく斜めになっていないか
- 手幅と下ろす位置が合っているか
- バーを無理に首側へ下ろしていないか
- 左右に傾いた状態で回数を続けていないか
肩の痛みを防ぐことは、ベンチプレスを長く強くすることにつながる
ベンチプレスで肩が痛くなったとき、「肩を鍛えればいい」「重量を下げればいい」と単純に考えるだけでは、原因を見逃してしまうことがあります。
まず確認したいのは、自分のフォームの中に余計な負担を生むエラーがないかということです。
特に今回紹介した、
- 肩甲骨の左右差
- 肩甲骨がセット中に浮いていないか
- バーベルの真下に肘があるか
- 手幅と下ろす位置が合っているか
- フォームが崩れるまで追い込んでいないか
この5つは、ぜひ一度チェックしてみてください。
そして、ベンチプレスを強くするためにトレーニング頻度を増やす場合も、毎回高重量を扱う必要はありません。
軽い重量でもベンチプレスという動作を繰り返し、自分のフォームを安定させていくことも重要です。
肩の痛みを我慢して重量を追い続けるのではなく、フォームを見直し、必要であれば重量やトレーニング量を調整する。
それが結果的に、長くベンチプレスを続けながら記録を伸ばしていくための土台になります。
なお、すでに肩に強い痛みがある場合や、痛みが長期間続いている場合は、フォームだけが原因とは限りません。無理にトレーニングを続けず、医療機関で状態を確認することをおすすめします。
今回の記事で参考にした吉川望の動画
この記事のフォーム解説は、以下の動画内容をもとに構成しています。実際の動きを確認したい方は、記事とあわせてご覧ください。
「肩が痛いけれど、どこを直せばいいのか分からない」なら、フォームを一度客観的に見直してみませんか?
「ベンチプレスの記録を伸ばしたいけれど、自分に合ったトレーニング方法が分からない」という方は、ベンチプレスを専門に指導している吉川導場のオンライン指導もご活用ください。
